ネットショップ/通販サイトの利益率の計算方法と改善方法とは?10個の具体的な方法を紹介





企業はよりよい商品やサービスを提供し適正な利潤を得て、私たちの給与として支払われたり、納税などを通して社会を支えています。ネットショップや通販サイトでも同様ですが、近年原価の高騰や価格競争によりその利益が取りづらくなってきています。

● 「値下げをすれば売り上げが作れるが、現在カツカツの状態で販売しているためこれ以上は利益がほぼなくなってしまう」
● 「売り上げを落とさず値下げ以外の方法で利益率を改善したい」
● 「仕入れ価格を下げたり、利益を改善するにはどうしたらよいか?」

そのためには、今一度利益というものを正しく認識し、簡単に取り組める内容も踏まえ利益率をどのように改善すればいか考えましょう。





ネットショップ/通販サイトの売上における利益とは


利益には5種類ある


利益は単純には販売価格から原価を引いたものが利益となります。しかし、会社の会計上の利益では

  • ● 売上総利益
  • ● 営業利益
  • ● 経常利益
  • ● 税引前当期純利益
  • ● 当期純利益
の5つの利益があります。
そのため、売上に対する利益の率といっても5つ存在することになりますが、本記事では会計面ではなく販売に近い2つの利益について「売上総利益=粗利」「営業利益=利益」として説明いたします。

  • ★「売上総利益 = 売上高-売上原価」
  • … 売上から商品・仕入れ原価を引いたもの。粗利益とも呼ばれます。
  • ★「営業利益 = 売上総利益-販売管理費」
  • … さらに人件費や水道光熱費などの経費を差しいたもの。
  • 「経常利益 = 営業利益-営業外費用+営業外収益」
  • … 本業以外の費用を調整したもの
  • 「税引前当期純利益 =経常利益-特別損失+特別収益」
  • … 突発的に発生した収益・損失を調整したもの
  • 「当期純利益 = 税引前当期純利益-法人税等」
  • … 法人税等を差し引いた最終利益



ネットショップ/通販サイトの利益率とは


ネットショップ/通販サイトでの利益には単純に売価から商品の原価を引いた粗利益以外に、梱包資材費、送料、システム費用、倉庫費用、出荷費用、モール手数料、決済手数料、広告費、外注作業費などさまざまな経費を差し引いた利益があります。
販売価格から原価を引いて残る粗利以外のかかる費用を考えないと、赤字で販売となってしまっている場合があります。



ネットショップ/通販サイトの利益率を改善するには


粗利率=粗利÷売上高×100=(売上高-売上原価)÷売上高×100
利益率=利益÷売上高×100=(売上高-売上原価-販売管理費)÷売上高×100

利益率を改善するには粗利を上げる方法と、利益を上げる方法があります。

粗利の要素は売上と原価のため、いずれかを改善することになりますが、売価を上げるのも、原価を下げるのも、お客様や仕入れ先メーカーなど自社以外との調整が必要となるため、それほど簡単にはいきません。

一方、利益は自社内を見直したり、いくつか外注先を探すことにより改善できます。販売管理費を削減できれば、売上はそのままで経費の部分で利益を生み出すことが可能になります。





自社で取り組む利益率改善方法


自社内で取り組める利益率の改善方法は大きく分けて3つあります。

  • ● 作業効率化により社内コストを下げる
  • ● 習慣化された備品や作業などを見直し外部コストを下げる
  • ● 投資が必要だが効果も大きい効率化


作業効率化により社内コストを下げる


「コスト」=「経費」を削減することは、そのまま「利益」の増加につながります。運営の形態にもよりますが、外注していない場合で大きく経費が掛かるのが、主に「人件費」「運賃」「支払手数料(モール費用等)」です。

その中でも大きな割合を占めるのが人件費になります。ネットショップ/通販サイトにおける社内業務としては、企画、ページ作成、問合せ対応、受発注処理、梱包出荷作業、経理など非常に多岐にわたります。

これらについて一つひとつ記載することはできませんが、共通して取り組めるのが作業効率を上げることです。パートさんや残業代などの人件費の削減、またはその他の業務へのヘルプや商品登録やSNS、企画作成などの充実により売り上げの増強にも注力できます。

そのためにはまず現在各作業にどれほど時間がかかっているか可視化し、5Sなどを使い社内でルール化し作業効率を上げる仕組化が必要です。

なお、5Sは「整理・整頓・清掃・清潔・躾」の頭のSの文字から名づけられました。整理・整頓を徹底することで、探し物をする時間や不必要なものなどあらゆる無駄がなくなります。

それにより作業時間が短縮され、生産性の向上とともに、トラブルの防止、安全性確保、サービスレベルの向上にもつながります。

作業の効率化は例えたった1秒の時間短縮だけでも大きな違いが生じます。例えば出荷作業で一人1日100件を処理しているとすると、100件×1秒×月22日稼働=月一人36分。仮に作業が10人とすると、合計で360分=6時間もの節約につながります。



習慣化された備品や作業などを見直し外部コストを下げる


非効率な作業の見直しによる効率化から、不必要な備品の削減、購入できる箇所が複数ある場合などは購入先の見直しなど、検討してみると継続的な改善、利益が生まれます。

【梱包資材】…多くのネットショップ/通販サイトが何からの形で輸送用のダンボールなどを使用していますが、一般的な形状のダンボールを使用するのであればできる限りコストを低く抑えたいところです。もし、輸送用ダンボールを何らかの資材と合わせて仕入れたり、ネット通販や一般的な小売店などで仕入れている場合は、大幅なコスト削減ができる可能性が高いので一度見直しをおススメします。

ダンボールメーカーも製造自体は大手に依頼していたり、共同で行っていたりと複数形態があります。できる限り中間費用が入らず、輸送コストが少なくなる業者と契約することによりコスト削減につながり、利益が上がります。
なお、大手衣料品販売店のネット通販では、緩衝材が不要となる形状の段ボールを用い、商品の保護に加え、部材費の削減と作業効率化を図るなど各社様々な取り組みを行っています。

【梱包方法を見直し送料削減】 …ダンボールでの梱包から、梱包用袋、エアーパッキン等での包み梱包へ変更することにより、運送会社での梱包サイズが小さくなり、運送会社への費用の削減を図ることができます。

【仕入れ支払い時の銀行手数料】…多くの仕入れや経費等での支払いでは銀行振込が利用されます。もし一般の銀行を利用している場合は、ネット銀行も検討することにより振込手数料の削減が行える場合があります。

  • ● 一般的なインターネットバンキング 他行振込手数料 330円~770円程度
  • ● ネット銀行 他行振込手数料 145円~229円程度
なお、カード決済や口座引落がある場合は、手数料がかからない、またはポイントが付与される場合などがあります。

その他に、運送会社や委託倉庫など契約から期間が経過している委託業務についても定期的な見直しは必要です。他社にて同様のサービスでより安価、さらにはより進化したサービスが提供されている場合もあるので、定期的な見直しや情報収集が望ましいです。

なお、昨今電話代の削減のため、固定電話等を連絡先や代表番号とする企業もございます。お客様、またはメーカーや仕入れ先の立場からすると企業の信用度が若干下がる恐れがあります。





投資が必要だが効果も大きい効率化


ある程度規模が大きくなってきた場合や、または少人数で大きな売り上げを目指す場合は、業務の効率化が必須です。効率化の手法として代表的なものには「システムの導入」または「業務を外注する」ということがあり、これらは非常に効果が高いです。

受注処理に労力や人件費をかけ精神的にも消耗したり、人的ミスが生じてしまうよりもやはりページ作成や企画を考えるほうが働く方にとってもモチベーションが上がります。ここでは2案とも大きく費用が掛かる、または会社全体での大掛かりな取り組みになるため詳細な説明は省きます。国の助成金などにより、費用負担が少なく導入できる場合もあるのでミラサポなど国の制度なども確認しましょう。

【例】

  • ● 受注処理の自動化、在庫管理システム、複数モール取込システム等の導入
  • ● 店舗運営、コールセンター、在庫保管、出荷業務などの外注化
  • ● 複合機及びコピー機の見直し
  • ● 印刷物のペーパーレス化
  • ● 電力会社の見直しやLED化
  • など

外注については自社内のノウハウの蓄積にはつながらないため、外注する場合は現在のショップの状況や、今後の方向性を踏まえ検討していく必要があります。
通販事業はまだまだ成長がある分野のため、日々新たなサービスやシステムがリリースされております。サービスや設備の見直しにより、大きくコストダウンや作業の効率化が図れることもありまので複数のメーカーやベンダより常に新しい情報を仕入れたり、定期的に見直も検討し、コスト引き下げや機種入れ替えによる作業効率化などを行いましょう。




販売方法を工夫して利益を改善する方法


販売方法により利益を上げる


お客様に対する利益の改善方法としては、一般的には本記事にてナビゲーションとして紹介した関連商品の紹介により、クロスセル(合わせ買い)やアップセル(上位製品の提案)として単価や利益率の高い商品をご提案するのがメインとなります。
本記事では単純に商品の販売価格をあげことについて考えてみます。




販売価格を上げることができる状況とは


下記のような優位性があれば商品の販売価格を上げることができます。

【接客での優位性】

  • ● ショップのブランディング、お客様とのコミュニケーションがしっかりできておりお客様にご理解いただける場合(店舗の評価・信頼性が高い)
  • ● 他社にないサービスで他店に比べ付加価値が高い(納期が早い、手数料が低い、ポイントが高い、関連製品の品揃え、アフターサービス等)
  • ● ポイントやクーポンの配布、おまけ等の提供

【商品での優位性】
  • ● 他社での取り扱いが少ない商品(ニッチ品、新製品など)
  • ● 店舗独自の商品(オリジナル商品、オリジナルセット、オリジナルカラー、福袋)など
  • ● 関連商品の魅力が高い(パーツの価格が安い、オリジナルパーツがあるなど)
  • ● お客様が商品の価値に対し価格が適正であると感じるとき

【ショップづくりでの優位性】
  • ● 比較されないページ作り(品番、品名、ワード等の工夫、店舗内で比較検討してもらうコンテンツ作り、SNS・メルマガでの販売)
  • ● 店舗に他の目玉品などがある場合
  • ● 価格比較されにくい商品ページになっている(品番、品名、JAN、自社撮影の画像など)

【外部の要因で販売価格を上げられる場合】
  • ● 他の店舗などで欠品が生じていたり、人気があり入手が困難な商品
  • ● メーカーや運送会社での値上げにて業界全体で価格が上がる場合
  • ● 市場での知名度が低かったり、相場が決まっていない商品
  • ● 自社が最安値である場合

他にセット販売や数量のまとめ販売として1個単位の粗利を減らしても全体の粗利額を増やすという方法もございますが、この場合も逆にお客様が選ぶ手間が省ける分、価格が多少高くても購入いただける可能性は上がります。




仕入れ元に対する利益改善方法


自社の利益を増やすには、売価を上げる方法以外では仕入れ価格を下げることがあります。
まずはネットショップ/通販サイトでの主な仕入れ方法を確認しましょう。
主には

  • ● メーカーからの直仕入れ
  • ● 問屋からの仕入れ
  • ● BtoBモール等からの仕入れ
  • ● オークションやアマゾンからの仕入れ
  • ● 海外からの輸入
  • などがあります。それぞれの方法について特徴を説明していきます。


メーカーからの直仕入れ


メーカーからの直接仕入れるメリットは以下の通りです。

  • ● 最新の商品情報が入手しやすい
  • ● 店舗の信頼感に繋がる
  • ● クレームや問い合わせなどへの迅速な対応が可能
  • ● アフターサービスやオリジナル商品、企画が可能
  • などさまざまなメリットがあります。

しかし取引が行えるようになるまでには非常に高い壁があります。仕入れ企業の実店舗の有無、企業の信用度、売上が見込めるかなどといったことが検討され、場合によっては商品を卸してくれない場合もあります。

またネットショップ/通販サイトでの販売によって価格が乱れ、せっかく開発した商品が安売りされたり商品の寿命があっという間になくなってしまったりという事をメーカーは非常に危惧しています。そのためそもそも口座を開いていただけなかったり、保証金の設定や卸価格を高めに設定されている場合もあります。また、発注についてもロット単位のみしか受け付けていないことや、最低注文金額が設定されているなど取引を続けていくのが難しい場合もあります。



問屋からの仕入れ


一番効率的に安く仕入れられるのが問屋からの仕入れです。問屋から仕入れるメリットは以下の通りです。

  • ● 幅広い品揃え
  • ● 豊富な在庫量
  • ● メーカーごとに取引申請や交渉等を行う必要がない
  • ● 小ロットやアソートでの仕入れが可能
  • ● メーカー欠品時も在庫を持っている場合がある
  • ● 一般の販売店のように問屋価格での仕入れができる

以上のように仕入れ側にとって非常に使い勝手が良いところが多数あげられます。メーカーに対し価格交渉なども行っているため、大量購入等での価格面の条件が出やすいこともあります。また、各メーカー、及び販売店とのパイプがあるため、売れ筋など様々な情報を持っていたり、あまり有名ではないマイナーなメーカーの商品などニッチな商品の取り扱いがある場合があります。 しかし、希望する商品が扱っていなかったり、ドロップシッピングサイトのように画像や商品データの提供が少なく登録が簡単ではなったり、メーカーのように大量に在庫していないことなどもあります。





BtoBモール等からの仕入れ


NETSEA(ネッシー)やスーパーデリバリー、雑貨ネットなどの仕入れモール、その他ドロップシッピング専用サイトなど、ネットショップ/通販サイトからすると比較的親和性が高い仕入れ先です。

BtoBモールから仕入れるメリットは以下の通りです。

  • ● 様々な商品を複数の業者から仕入れることができる
  • ● 商品登録用の画像やCSVデータの提供がある

以上のようなメリットにより、ネットショップ/通販サイトを開業したての時などは非常に便利です。
ただし、BtoBモールに出品している卸側もモールでの手数料がかかっていたり、最高値での送料等を計算し卸価格がつけられていることもあるため、若干利益が残りにくい場合があります。また、開業したてでも取り組みやすいことから、他の競合ショップでも取り扱いがある際は、商品が売れにくかったり利益が残りにくいこともあります。



オークションやアマゾンからの仕入れ


オークションでは相場よりも安く仕入れができたり、アマゾンでは商品の種類や情報も豊富ではありますが、在庫状況がわからなかったり、価格が変動するなど、安定した仕入れを行うには難しい場合があります。



海外からの輸入


非常にハードルは高いですが、ルートを開拓していくことにより日本では入手できないニッチな商品や海外正規輸入品など低価格での販売も可能です。ただしルートの開拓、為替、在庫、クレーム時の対応の難しさなど様々な厳しい条件があります。



仕入れ元に対する利益改善方法


仕入れ先に対し、利益を改善=原価・コストを下げるにはまずは、相手が価格交渉に乗ってもらえる相手であることが必要になります。価格交渉やロット、納入先や納入方法について相談するにも、BtoBモールや一般的なドロップシッピングサイトでは難しい場合があります。

価格交渉をするためには、問屋やメーカーなど長く付き合うことができ、安定している仕入れ先を見つけることが必要になります。日々コミュニケーションをとり売り上げを作っていくことにより、価格の交渉や商品の優遇、在庫の融通などさまざまメリットが受けられます。

なお、弊社マルモトネットでは、ロットなどでの価格交渉や、掲載がない商品の掲載リクエストなど、ネットショップ/通販サイトの皆様とともに売り上げを上げていくことに力を注いでおりますのでぜひまだ会員未登録の方はご登録いただければ幸いです。



まとめ


商品の売価については安ければ安いほど売れやすいという事実もありますが、適正な価格であれば他との差別化を行うことにより、決して最安値でなくてもご購入いただけます。

弊社にて取り扱っている商品の中には、ネット・店頭市場売価4000円程度の商品が、1000円以上高い売価でも年間数千個売れ続けているケースもあります。そうした商品でも非常に高いレビューもいただき、モールの年間ランキングにも選ばれたことがあります。

商品ページにてきちんと商品を説明するとともに、他の店舗と比較されないよう品名や品番、画像などを工夫したことにより好成績を残すことができました。

しかし他の店舗よりも2割も高い価格の商品がなぜそんなに売れたのでしょうか?

それは、お客様から見て、その商品の価格が適正であると感じていただけたからだと思います。お客様に商品を丁寧に説明しこれは良いと感じていただき、お買い得であるとご納得いただけることで、喜んでご購入いただくことができます。そうすることで何年にもわたり売れ続けるページを作ることができると思います。

なんでも安売りすればよいという事ではなく、お客様もご満足いただけ、店舗や仕入れ先にとっても利益が残る販売を考え、仕入れ先とパートナーとして協力し販売していくことが一番幸せな店舗の運営方法かと存じます。



マルモトネットは、生活に関わる多種多様な商品を6,000アイテム以上取り扱っている卸売り、仕入れサイトです。無料会員登録でキッチン用品・インテリア雑貨、アウトドア用品などをお得に"1点"から仕入れ可能!

会員登録はもちろん無料で行えますのでお気軽にご登録ください。



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